不妊治療の種類~まずは手軽なものから始めよう~
不妊治療には大きく分けて、「一般不妊治療」と「生殖補助医療(ART)」の2種類があります。
生殖補助医療(ART)とは配偶子(卵子と精子)や受精卵(胚)を体外で取り扱う高度不妊治療を指し、大まかには、取り出した卵子と精子を合わせて、体外で受精させる「体外受精」と、顕微鏡下で卵子のごく近く(場合により卵細胞内)に精子を注入する「顕微授精」の2種類があります。
こうした技術にたよらない治療法(薬物療法、手術療法、配偶者間あるいは非配偶者間の人工授精など)を一般不妊治療といいます。
不妊治療は通常、自然に近い方法からより高次の治療法へと、段階的に進んでいきます。生殖補助医療(ART)は一般不妊治療と比べて経済的負担が大きく、また肉体的負担も少なくないことから、そこに進むか否かの決断は、不妊治療を受ける際の大きな節目となります。鍼灸における不妊治療も一般不妊治療の1つとなります。今回は一般不妊治療について紹介していきます。
■一般不妊治療の種類
一般不妊治療には、「タイミング法」「ホルモン療法」「人工受精」「鍼灸治療」などがあります。
・タイミング法とは
基礎体温表や超音波、尿検査により、排卵日を予測します。また、それに合わせて夫婦生活を営むよう指導されます。不妊治療の最初の段階として行われます。
・ホルモン療法とは
ホルモン剤による排卵を誘発させる治療法です。排卵に障害があったり、黄体機能不全により子宮の内膜に排卵が着床しないといった場合に行われます。飲み薬と注射薬があります。
・人工受精(AIH)とは
排卵予測日に、男性精液をより分けて子宮に注入する治療法です。タイミング法やホルモン療法で妊娠しなかった原因不明な不妊症や、男性の精子に問題がある場合に有効な手段として考えられています。
・鍼灸治療とは
一般的に、鍼灸は肩こりや腰痛、神経痛などによく効くとされていますが、日本鍼灸師会によると、生理痛や月経不順、不妊などの婦人科系疾患にも効果があるとされます。元々、鍼灸は予防医学なので、自分が本来持っている体内のバランスを整えることで、様々な症状に対応できると考えられています。
不妊治療の一環で鍼灸を行う場合、不妊症の根本的な原因を治療するというよりも、「体の調子を整えて妊娠しやすい体を作る」のが目的です。鍼灸を受けると、具体的には以下のような効果が期待できます。
● 血行が良くなり、お腹や骨盤周りの冷えが改善
● 自律神経が整い、ホルモンバランスが改善
● ホルモンバランスが整い、子宮や卵巣の働きが改善
● 心身をリラックスさせ、ストレスを解消
体の冷えや自律神経、ホルモンバランスの改善は、妊娠しやすい体作りの基本。ストレスなど精神的な影響でホルモンバランスは乱れやすいので、リラックスすることも大切です。
いかがでしたか。手軽に始められる鍼灸治療、ぜひあなたもチャレンジしてみませんか?次回は鍼灸治療の更に詳しい方法について紹介します。