妊娠の指標となるAMHの30歳基準値

AMHとは「アンチ・ミューラリアン・ホルモン」の略称で、女性の初期卵胞から分泌されるホルモンのことです。
つまり、この値が高ければ高いほど、より多くの卵胞が育っているということであり、卵巣機能がどれだけ働いているかをわかりやすく表す指標として用いられています。

そこで今回は、一般的な初妊娠の年齢である30歳前後のAMH値の基準値を見ていきましょう。

30歳前後のAMH値

30~31歳の女性のAMH基準値は6.31ng/mlであり、これは全年齢を通じて最も高い値となっています。
AMHは先にも述べた通り卵巣機能がどれほど活発であるかを示す指標であるため、年齢を追うごとにその値はどんどん減少していきます。
35~36歳で3.82ng/ml、40~41歳で2.44ng/mlと35歳前後を皮切りに急速に減少していき、年を重ねるごとに妊娠の可能性が減少していくことがこの指標に表れています。

また、27歳以下の女性のAMH基準値は6.04ng/mlと違いは僅かであるものの、年齢が低ければ低いほど値が大きいというわけではありません。

年齢だけでは分からない個人差に要注意

このように、卵巣機能という観点から見ても、30歳前後というのは妊娠、出産に適した時期であると言えます。
ただし、閉経の時期は人それぞれで、年齢が若くても、20代や30代前半で閉経する方も珍しくありません。

「私の同年代は高い基準値だから大丈夫」という理由で、自分の卵巣の状態を決めつけてしまうのは極めて危険な考え方です。
AMH検査は5000円~10000円で受けることができる簡単な血液検査であるため、妊娠の可能性を示す指標の一つとして知っておきましょう。

AMH値は高すぎても良くない?

AMH値は卵巣の状態から妊娠確率を推測するのに適した値と言えますが、あくまでも指標の一つに過ぎません。
AMH値が低くても妊娠する方も大勢いらっしゃいます。それはなぜかというと、AMH値は卵子の量を表す指標であり、決してその質を表す数値ではないからです。
数が少なくても、一つ一つの卵の質が良好であれば妊娠する確率は十分にあります。

また、AMH値は高ければ高いほど良いというわけではありません。
AMH値が高すぎる場合、排卵異常によって卵巣内に多数の卵胞が溜まってしまう「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)」という病気の可能性が考えられます。
この病気は月経異常や不妊を引き起こしてしまうため医師による治療が必要となります。

最後に

ここまでAMH値の概念とそれによって何が分かるのか、そして年齢別のAMH平均値を見てきました。
このようにAMHはあくまでも「参考」であるため数値の高低で一喜一憂する必要はありません。

ただ、AMHは今後の治療を決める上で参考になる資料となり得るので、気になる方はぜひ検査してみてはいかがでしょうか。