妊活と甲状腺ホルモン
甲状腺ホルモンの数値を指摘されたことはありませんか?
不妊治療の血液検査の一つに甲状腺ホルモンの数値があります。
健康診断で基準となる数値と不妊治療で基準となる数値には違いがあり、健康診断では問題がなくても不妊治療の検査では指摘されるという方もいらっしゃいます。
当院に来られる患者様の中にも甲状腺ホルモンの数値でお悩みの方は少なくありません。
甲状腺と不妊とは一体どういう関係があるのでしょう?
甲状腺って?
甲状腺とはのどぼとけの下にある蝶のような形をした臓器です。
甲状腺から分泌されるホルモンは全身の新陳代謝に関わっています。
女性ホルモンの分泌にも関わっていて、妊娠と密接な関係にあります。
甲状腺ホルモンの働きはFT4とTSHというホルモンの値をチェックします。
FT4とは甲状腺から分泌されるホルモンです。
TSHとは脳から分泌される甲状腺刺激ホルモンのことで、甲状腺ホルモンの分泌量のバランスを保つ働きをしています。
TSHが高い→甲状腺ホルモンが少ない
甲状腺ホルモンが少なくて、「甲状腺もっと頑張って!」と指示がでている状態です。
代表的な病気として「橋本病」があります。
- いつも疲れやだるさが続く
- 寒がり
- 眠気が強く、動作が遅い
- 髪の毛が抜けやすい
全身の新陳代謝が低下して、無気力でぼーっとしたような状態になります。
甲状腺機能が低下するとなかなか卵胞が成長せず、無排卵や無月経が生じやすくなります。
また、高プロラクチン血症を招き、排卵障害を起こすこともあります。
TSHが低い→甲状腺ホルモンが多い
甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、新陳代謝が激しくなっている状態です。
代表的な病気として、「バセドウ病」があります。
- ドキドキする
- 暑がりでよく汗をかく
- 手足の震え
- イライラする
- 体重減少
常にジョギングをしているような状態になります。
甲状腺機能が亢進すると、排卵までの期間が短くなることがあります。
体重減少が起こると卵巣の機能が低下し、生理があまり来なくなる稀発月経になることもあります。
甲状腺ホルモンは不足していても過剰でも、早産・流産のリスクが高くなります。
妊娠を希望される方はTSHの値を2.5以下に抑えておくべきと考えられています。
甲状腺の数値に問題がある場合まずは薬物療法でホルモンの分泌量をコントロールし、安定してから妊活に臨むことになります。
自分でできることはないの?
病院の治療では、ホルモンバランスを整える事を第一に考えていきます。
そのためホルモンバランスの乱れを招くストレスとはうまく付き合っていくことが大切です。
ストレスを受け続けると甲状腺の病気の発症率が7.7倍になるというデータもあります。
また、甲状腺機能低下症である橋本病は自己免疫疾患なので、ストレスが多くなると症状が増悪してしまいます。
ストレスというと心理的なものを想像しますが、それだけではありません。
肩こり・腰痛・不眠・多忙などの身体的なものや、生活習慣の変化など周りの環境面もストレスになってしまいます。
ご自身のお身体への負担を軽減できるところはないか、一度見直してみてもいいかもしれません。
甲状腺と葉酸
甲状腺の数値に問題がある方は葉酸が多く必要になることを知っていますか?
葉酸は赤血球の生産を助けたり、卵胞を成熟させる働きがあります。
また、妊娠初期には胎児の脳や神経・心臓など体の重要な部分の形成に多く必要になります。
甲状腺機能が低下している場合、葉酸の吸収と利用に障害が起きます。
逆に甲状腺機能が亢進していると、葉酸が消耗されます。
そのため、妊娠前からしっかりと摂っておくことが望ましいです。
※甲状腺低下症のお薬を飲まれている方は食物繊維がお薬の吸収を邪魔してしまうので注意が必要です。
足りない部分はサプリメントなどで補ってもいいかもしれません。
最後に
甲状腺の数値に問題があっても、病院の治療によってコントロールができれば妊娠、出産は可能です。
薬を飲んでいる期間は妊活をお休みすることになり、もやもやされる方も多いです。
しかし、甲状腺の数値が正常に戻ったときのために妊娠しやすい体を作っておく大切な期間でもあります。
元気な赤ちゃんを授かれるように今できることに取り組みましょう。
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不妊治療専門 アクア鍼灸治療院
院長 松本茂文
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